クロス張り替え費用の計算方法

クロス張り替えの費用は、見積もりの出し方を理解していないと高いのか安いのか判断しづらいものです。ここでは費用の計算方法を解説します。
「㎡(平米)単価」と「m(メートル)単価」の違い
クロス張り替えの見積もりで使われる単価には、「㎡(平米)単価」と「m(メートル)単価」の2種類があります。どちらもクロスの価格を示す指標ですが、基準となる面積が違うため同じ数字でも実際の費用が異なります。
・㎡(平米)単価
㎡(平米)単価とは縦1m×横1mの正方形、つまり1平方メートルあたりのクロス張り替え費用を指します。「〇〇円/㎡」のように表記され、壁や天井の施工面積を㎡で算出し、その面積に単価を掛けて費用を求めます。施工面積が明確になりやすく、費用の内訳を把握しやすい点がメリットです。
・m(メートル)単価
m(メートル)単価は、クロスを1mの長さで使った場合の価格を表すものです。「〇〇円/m」と表記されます。一般的なクロスは幅約90cmのロール状で流通しているため、1m分のクロスは「0.9m×1m=約0.9㎡」の面積に相当します。つまり、メートル単価は1㎡より少し小さい面積を基準にした価格表示です。
仮に、平米単価が1,000円のクロスとメートル単価が1,000円のクロスがあったとします。10㎡分の壁を張り替える場合、平米単価のクロスなら「1,000円×10㎡=10,000円」となります。一方、メートル単価のクロスは幅が0.9mのため、10㎡をカバーするにはおよそ11〜12m分のクロスが必要になります。その結果「1,000円×約12m=12,000円前後」となり、最終的な費用はメートル単価のクロスの方が高くなります。
メートル単価は一見すると金額が低く見えるため、割安な印象を受けやすい点に注意が必要です。実際に必要なクロスの量を平米換算して計算すると、平米単価で提示された業者とほぼ同じ、あるいは高くなる場合もあります。そのため、見積もりを比較する際はどの単位で表示されているかを確認し、条件をそろえて判断することが重要です。
張り替え面積の具体的な計算方法
クロス張り替えの費用を把握するためには、張り替え面積を知る必要があります。張り替え面積を計算する際に重要になるのが、壁全体の面積から窓やドアなどの開口部を差し引くという考え方です。
基本となる計算方法は以下の通りです。
・部屋の壁の総面積を求める
・そこから窓やドアなどクロスを貼らない部分の面積を引く
上記で実際にクロスが必要となる面積が分かります。
例えば、壁全体の面積が30㎡で窓やドアの合計が5㎡であれば、クロスの張り替え面積は「30㎡−5㎡=25㎡」となります。
クロスのグレード別単価相場

クロスを選ぶ際はグレードの違いにも注意が必要です。ここでは代表的な2つのグレードについて見ていきます。
安価で汎用性の高いスタンダードクロス
スタンダードクロスは、一般住宅で最も多く使われているベーシックな壁紙で、「量産クロス」や「普及品クロス」と呼ばれることもあります。大量生産されているため価格が抑えられており、コストパフォーマンスに優れた選択肢として広く採用されています。平米単価の相場は800円〜1,100円程度です。
デザイン面では白無地や淡いカラーを中心に、シンプルで落ち着いた柄が豊富にそろっています。派手さはありませんが、家具やインテリアになじみやすく、空間をすっきりと見せてくれる点が特徴です。
機能やデザインにこだわったハイグレードクロス
ハイグレードクロスは、デザイン性や機能性を重視した壁紙で「1000番台クロス」と呼ばれることもあります。これは定価ベースで1,000円を超える価格帯の商品が多いことに由来しています。平米単価の相場はおおよそ1,000円〜1,500円程度で、スタンダードクロスよりも一段階上のグレードに位置づけられます。
最大の特徴は、色柄や質感のバリエーションが豊富な点です。織物調、石目調、木目調といった質感を再現したデザインや、空間のアクセントになる柄物クロスまで幅広く揃っています。インテリアのテイストに合わせて選びやすく、部屋の雰囲気を大きく変えたい場合にも向いています。
また、見た目だけでなく機能面が充実している点もハイグレードクロスの魅力です。消臭、調湿、防汚、抗菌といった機能を備えた商品も多く、ペットを飼っている家庭や、においや湿気が気になる空間にも採用されています。
費用はスタンダードクロスより高くなりますが、リビングの一面やテレビの背面など、ポイント使いする方法もあります。アクセントクロスとして取り入れることで、コストを抑えながらデザイン性を高めることができるため、こだわりたい部分にだけ使うという選択肢も現実的です。
部屋の広さ別に見る張り替え費用の総額目安

クロス張り替えを検討する際は、部屋ごとにかかる費用のイメージを把握しておくと安心です。ここからは、部屋の広さ別に張り替え費用の総額目安を見ていきましょう。
トイレや洗面所など狭い空間の費用
トイレや洗面所は面積が小さいため、クロスの材料費自体はそれほど高くなりません。ただし、実際の張り替え費用は「面積が小さいから安い」と単純にはいかない点に注意しましょう。多くのリフォーム業者では最低工事費が設定されており、作業にかかる人件費や準備、養生などの基本作業が一式で計算されるため、狭い空間でも一定の金額が発生します。
トイレのクロス張り替えでは、壁と天井をすべて張り替える場合で、おおよそ3万円〜5万円前後が目安になります。壁紙のグレードにかかわらず、この価格帯になることが多いのは、使用するクロスの量よりも職人の作業費の割合が大きいからです。
一方、洗面所はトイレよりも施工面積がやや広く、さらに洗面台や洗濯機、洗濯パンなどの設備があるため、4万円〜7万円程度が一般的です。設備の取り外しや移動が必要な場合は、手間が加わることでさらに費用が上がることもあります。
このように、狭い空間の張り替え費用は平米単価で見ると割高に感じられることがありますが、これは最低工事費が影響しているためです。もしトイレや洗面所以外にも張り替えたい箇所がある場合は、まとめて依頼することで最低工事費を一度で済ませられ、結果的にトータルの費用を抑えられることがあります。
また、トイレや洗面所は湿気や汚れが発生しやすい場所のため、防カビ・防汚機能付きクロスを選ぶ方も多く、その分やや費用が上がる場合もあります。狭い空間だからこそ、デザイン性のあるクロスを取り入れることで張り替えの満足度を高めることもできます。
6畳から8畳の居室にかかる費用
一般的な天井高(約2.4m)で、窓やドアなどの開口部が2〜3割程度ある部屋を想定した場合、6畳の壁と天井を張り替えると、おおよそ4万円〜8万円前後が目安になります。壁のみであれば、4万円〜7万円程度に収まる場合もあります。
8畳になると施工面積が増えるため、費用もやや高くなります。目安としては、6畳の1〜1.5倍ほどになることが多く、スタンダードクロスであれば6万円台〜10万円前後、ハイグレードクロスを選ぶ場合は7万円台〜11万円前後まで上がる場合もあります。
居室は使用頻度が高いため、費用だけでなくクロスの耐久性やデザインも考慮して選ぶことが重要です。
リビングやダイニングなど広い空間の費用
リビングやダイニングは住宅の中でも施工面積が広く、クロス張り替え費用が高くなりやすい空間です。10〜15畳程度の一般的なLDKで、壁と天井をまとめて張り替える場合、スタンダードクロスで8万円〜12万円前後、ハイグレードクロスでは10万円〜20万円前後がクロス張り替え相場の目安になります。天井が高い場合や開口部が少ない間取りでは、さらに費用が上がることもあります。
リビングは長時間過ごす場所であり、来客の目にも入りやすいためデザイン性と機能性の両立が求められます。明るい色や中間色を選ぶことで空間が広く見えやすくなり、テレビ背面などに一部アクセントクロスを使うことで、メリハリのある仕上がりになります。全面をハイグレードにせず、一部のみに使うことで費用を調整するケースも多く見られます。
また、人の出入りが多いリビングでは、汚れやすさや耐久性も重要なポイントです。防汚・表面強化タイプのクロスを選ぶことで日常の手入れがしやすくなり、綺麗な状態を保ちやすくなります。費用だけでなく使い勝手やメンテナンス性も含めてクロスを選ぶことが、満足度の高い張り替えにつながります。
クロス代以外に発生する追加費用の内訳

クロス張り替えの見積もりでは、クロス代以外に発生する追加費用を事前に把握しておかないと「思っていたより高くなった」と感じてしまう原因にもなります。ここでは、クロス代以外に発生する追加費用の内訳について解説します。
古いクロスの剥がし代と廃材処分費
クロス張り替えでは、新しいクロスを貼る前に既存のクロスを剥がす作業が必要になります。この作業にかかる費用が「剥がし代」です。一般的には平米あたり数百円程度が相場とされており、施工面積が広くなるほど費用も増えていきます。
また、剥がしたクロスは産業廃棄物として処分する必要があり、その処分費用が別途発生する場合もあります。見積もりによっては「剥がし・処分費込み」として一括で記載されていることもあれば、項目を分けて記載されていることもあります。
クロス張り替えの相場を正しく判断するためには、これらの費用が見積もりに含まれているかを事前に確認しておくことが重要です。特に、張り替え面積が広い場合や築年数が古い住宅では、剥がし作業に時間がかかることもあるため、金額の内訳をしっかり把握しておきましょう。
壁を平らに整える下地処理費
下地処理費とは、クロスを貼る前に壁の状態を整えるための作業にかかる費用です。壁にひび割れや凹凸、ビス穴、古いクロスの糊残りなどがある場合、そのままクロスを貼ると仕上がりに影響が出てしまいます。そのため、パテ処理などで壁を平らに整える工程が必要になります。
下地処理費は壁の状態によって大きく異なり、軽微な補修で済む場合は数千円程度で収まることもあります。一方で、劣化が進んでいる場合や補修箇所が多い場合には、数万円単位の費用がかかることも珍しくありません。
見た目をきれいに仕上げるだけでなく、クロスを長持ちさせるためにも下地処理は重要な工程です。見積もりを見る際には、下地処理がどの程度含まれているのか、追加費用が発生する条件は何かを確認しておくと安心につながります。
家具の移動や養生にかかる費用
クロスを張り替える際、作業スペースを確保するために家具の移動や養生作業が必要になります。大型の家具や家電がある場合、職人が移動作業を行うことで別途費用が発生することがあります。家具の数や大きさ、移動距離によって金額は変わりますが、数千円から数万円程度が目安です。
また、床や建具、設備を傷つけないように保護する養生作業も重要な工程です。特にリビングや廊下など、施工範囲が広い場合は養生の手間が増えるため、その分費用が上乗せされることがあります。
費用を抑えたい場合は、事前に自分で荷物を片付けたり、小型家具を移動しておくのもひとつの方法です。ただし、無理に重い家具を動かすとケガや破損の原因になるため、どこまで自分で対応するかは業者と相談しながら決めることが大切です。
クロス張り替えを安く抑えるポイント

クロス張り替えは、相場を把握したうえで無理のない範囲で工夫を取り入れることで、仕上がりの満足度を下げずにコストを調整することが可能です。最後に、クロス張り替えを安く抑えるポイントをご紹介します。
広い面積にはスタンダードクロスを採用する
クロス張り替え費用を抑えるうえで、最も効果が出やすいのがクロスの選び方です。特にリビングや廊下など施工面積が広い場所では、クロスの単価差がそのまま総額に大きく影響します。ハイグレードクロスを全面に使用すると、想定以上に費用が膨らむことも少なくありません。
そのため、広い面積にはスタンダードクロスを採用し、アクセントとして一部だけデザインクロスを取り入れる方法がおすすめです。この方法であれば、費用を抑えたうえで見た目の変化もしっかり感じられます。
複数の部屋をまとめて依頼する
クロスを張り替える際は、複数の部屋をまとめて依頼することで費用を抑えられる場合があります。理由としては、職人の移動や準備、養生作業などを一度でまとめて行えるため、施工効率が上がるからです。部屋ごとに別々で依頼するよりも、結果的にトータル費用が下がるのです。
例えば「今回はリビングだけ」と考えていても、近い将来に寝室や子ども部屋の張り替えを予定しているのであれば、一緒に相談してみる価値があります。無駄のない施工計画を立てるためにも、将来的な張り替え予定を含めて業者に伝えることがおすすめです。
荷物の片付けを自分で行う
クロス張り替え工事では、作業前に家具や荷物を移動させる必要があります。業者に任せる場合、家具移動費や作業時間に応じた費用が発生することがあります。そのため、可能な範囲で事前に荷物を片付けておくことで、費用を抑えられる場合があります。小型家具や雑貨類をあらかじめ移動しておくだけでも作業効率が上がり、見積もり金額が下がることがあります。
ただし、無理に重い家具を動かすとケガや破損の原因になるため注意が必要です。どこまで自分で対応するかは業者と相談し、安全面を優先しながら進めることが大切です。
まとめ
クロス張り替えは、室内の印象を大きく変えられる一方で、費用の考え方が分かりにくいリフォームでもあります。平米単価の見方や施工面積の計算方法、クロスのグレードによる価格差を理解しておくことで、見積もり内容への不安を減らすことができます。また、下地処理や家具移動など、クロス代以外に発生する費用を把握しておくことも想定外の出費を防ぐポイントです。
本記事では、クロス張り替え費用の計算方法・クロスのグレード別単価相場・張り替え費用の総額・追加費用の内訳・費用を抑えるためのポイントを解説しました。これからクロス張り替えを検討する際は、本記事の内容を参考にしながら住まいや予算に合った計画を立ててみてください。